昨年秋口から入社した飲食もそこまで経験のない見習いピッツァ職人 森くん。実は面接に来たときはフレンチキッチン志望でした。ちなみにこちらに来たんです。
atelier de terrine maison okei (アトリエ ド テリーヌ メゾン オケイ) - 豪徳寺/フレンチ/ネット予約可 | 食べログ
リハビリなどをする仕事が長く、少し飲食をかじった程度。まじめそうでしたが少し物静かな印象。僕は面接時には1度目は自分の話ばかりします。面接といっても自分もされる立場だと思っているので。
で、自分も未経験だったことを話していたんです。キッチンに入ってピッツァの修業は時間がかかってしまいそうだったから、お金を払って教えてもらった話とかをしました。1時間ほどめんせつをしながら、直感的に今の自分のお店のキッチンに入っても、うまくいかないなーって思いました。理想と現実の差で辞めてしまうんじゃないかなと。だから正直に言いました。今このお店に入るのはあなたにとって得策とは思えないと。でもいい人だなって思っていたので助言をしたんです。
【ピッツァを調べてみてはどうだろう?】と。
今ならスクールみたいなものもあるし、未経験でも素直であれば、可能性はあるのかなって思ったので。なので面接を終えた後、本屋さんとか行ったり、いくつかお店に行ってみたらどう?と。
それで何か思うことがあれば、再度連絡してよって言って面接は終了。彼がどう思うかはわかりませんでしたが、せっかく来てくれたのだから、思うことは伝えたつもりでした。数日後、森君から連絡が来ました。青山ブックセンターで沢山本を見てきて、ピザについても魅力的に感じたから、再度会ってほしいという内容だった。
正直びっくりした。本当に本を買い、ピッツァを食べたりしに行ったんだって。
初めて会ったおじさんの言うことを素直に聞いたんだなって感心した。
再度会い、意思を確認して、オケイのピッツァ職人に会って話してもらった。
スタッフの印象は僕と変わらず、未経験だけどいい人そうだからいいかも・・・。
結局、採用となり、今3か月以上が過ぎたのかな。もちろん、未経験だから色々と課題は多いし、物静かだから。元気ないなーって思うこともある。
でも最初に感じた【素直】であることが全てで、おじさんスタッフからも可愛がられている。先日、彼と二人で話す機会があり、思うことが多かった。
特殊的な入社経緯であることも自分でもわかっていて、新しい自分というかやりたいことを見つけさせてくれたことへの感謝もあるし、自分はやるしかない!って思いである程度の覚悟をして入社したという。いわゆる修行というイメージだという。
最近、この修行という言葉が何だか死語というか、意味の解釈が難しくなってきた気がします。厳しい言い方や環境で辛い中で頑張るという印象がある、修行。そういうものは求められないし、そういうことをしてしまうと上司が責められる。
だから優しく教えていくというスタイルが良いとされている気がしますよね。
若い人は特にそういう気持ちで入社しているのではないかと予測している。それが間違えているわけではなく、むしろ僕もそう思っている。
ただ、森君は実はそのクラシカルな修行のつもりでオケイに来たんだという。だから、皆さんが優しくしようとしてくれたり、僕が教育方法をピッツァ職人に改善を求めたりするのを見て、どうしていいのかわからない時があるって。
えーーーーーーーーそんな人いるんだって、びっくりしちゃった。
結局、僕らが最初に感じた素直さってのがこういうところかもなーって。入社する前に話したことをしっかり覚えていて、新しいスキルや仕事、やりたいことを具現化するにはある程度の痛みがあるっていうのを本気で覚悟してきたってこと。
嬉しかったし、大切にしなきゃなって思った。若いとか経験の有無などなどいろんな人がいるけど、やっぱり素直だったり、感謝や反省が本気で出来る人って強いなって。
森君がピッツァを焼けるようになり、お店を任せるようになったりしたら泣いちゃうかな。彼の人生に自分がいて、愛情を注ぐ。その愛情がピッツァに変化してお客様に注がれていくのが楽しみだ。