OKEI GROUP OWNER 片寄雄啓《コトバノチカラ》

神奈川大学法学部出身。広告代理店《協同広告》で営業として6年間勤務。ウルフルズ「ええねん」を聞いて、飲食店独立を決断し、退社。1年半の修業を経て、2005年に29歳で新橋でokeiを開業。現在、Pizzeria Terzo okei、Viva okei、OKEI BREWERY、Atelier de terrine maison okei、オケタプ 、ビストロオケイヤの6店舗経営。飲食店経営、カズ、サザン、人生の事。コトバノチカラを信じて日記に示したいと思います。

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時代の壁

「携帯がない時代に生まれたかった」

 

先日、スタッフと賄いを食べているときにふとそんな話になっていた。

ま、キッカケは出会いや待ち合わせの仕方だったんです。それこそ、駅にあった連絡版とかを使っていたよーとか。

家の電話で友達や彼氏彼女と電話して親に怒られていたり。

どうやって待ち合わせってするんですか?

そんな質問が出るとびっくりしちゃいますよね。

でも、確かに今生まれていたら、携帯なかったらマジで困りそう。

僕はサラリーマンになってから携帯を持った。大学時代は持ってなかった。周りは持っている人もいたが持っていない人もいた、ポケベルもそんな感じ。

ポケベルも持ってなかったな。

スタッフの女子は口をそろえて「今の彼氏彼女がいる人の連絡の頻度が多すぎる」みたいな話をしていた。

確かにLINEがあるからいつでも連絡できちゃうもんね。

以前は連絡が出来ないから、家の電話に勇気を出して電話をして、お父さんとかが出てしまって、気まずい感じだったりもした。

でもその壁を乗り越えて付き合ったり、待ち合わせをしたり。

あらかじめ待ち合わせ場所を確認しに行ったり。

各名所みたいな場所は待ち合わせで溢れていたような気がする。

便利になったはずが、追われているような支配されているような感じなのかな。

確かに便利になったはずなのに、やらなきゃいけなことは増えている気がする。

1つの話に集中していないのか、何度も確認できちゃうからなのか、物事を進められない感じの人もいるような気がする。

情報に溢れ、携帯があれば海外旅行の予約すらできる。

入らなきゃわからないドキドキ感は薄れ、お店の情報はネットに溢れている。

ヒトとの出会いは出会い系アプリが普通になり、ゼロから出会う場所はなくなっていく。仕事をし始めて、はじめてコミュニケーションの大切さを知りつつ、リモートを求めればそれすら出来なくても仕事がある。

人としての厚みや熱いキモチはどこにいくのだろうか。

こんなに便利な携帯がない時代が羨ましいという言葉は、今の自分たちの鏡だと思う。

今、オケイというお店を20年続けている中でスタッフは沢山入退社している。

18人くらいが独立し、20店舗ほどある独立店舗。

そこには沢山のお客様が溢れているだろう。

そのすべてとは言えないけど、出来るだけの出会いを大事にしてきた。

中にはけんかして仲直りしたり、音信不通の人もいるけど、気にはなっている。

全てがうまくいくわけもなく、やはり難しい人間関係の渦。

でも、逃げずに常に腹をくくってきた。

今、オケイという会社にいる正社員は25名、アルバイトは10名ほど。

その家族や関係する方々を幸せに出来るかどうか。

携帯の中にある何かではなく、僕という生身の体で何が出来るのか。

生みだしていくしかない信頼関係と絆。

そんな青春みたいなコトをまだまだ信じているのは、そうやって仲間に大切にしてもらって生きてきたから。ただただ、その感謝でしかない。

優しさの塊の大先輩たちに育てられた自分、腐れ縁の友人、オケイを出してから仲間になった人たち。

全ての優しさをスタッフに返していくしか、ないですよね。